特定技能2号の拡大により外国人の賃貸需要が高まる?部屋を貸すリスクとメリット

2023.10.9

近年、外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、日本で住居を探す外国人が増えています。

外国人の賃貸需要が高まる一方で、家主様の中には、文化や生活習慣の違いから生じるトラブルなどを懸念している方も多いのではないでしょうか。

確かに、外国人の受け入れにはリスクがありますが、空室率を改善するなど多くのメリットもあります。

今回は、将来的に増加が見込まれる外国人の入居者を受け入れるうえでのリスクとメリット、対処方法などについて解説します。

日本で暮らす外国人労働者の現状と未来

労働力人口の減少傾向が続いており 、外国人労働者の積極的受け入れがその打開策の一つです。

2019年には外国人の在留資格である「特定技能制度」が導入され、2022年11月末時点で「特定技能」による在留外国人数は12万3000人を超えて、1年前の3倍以上に急増しています。

しかし、そのほとんどが就労期限が5年の1号労働者で、資格更新回数に上限がない2号労働者は僅か10人にとどまっています。

政府は2023年6月、長期滞在と家族の帯同が可能な「2号」の対象業種を大幅に拡大する閣議決定を行いました。

今後、外国人の無期限就労の拡大により、多くの外国人労働者に永住の道が開かれることでしょう。

外国人に部屋を貸すリスクとは

将来的に国内で住居を求める外国人が増加する一方で、受け入れる側の家主様はさまざまな不安を感じているのではないでしょうか。

例えば、ごみ出しのルールは世界共通ではありません。地域によっては、曜日や細かい分別まで非常に厳しいルールがあるので丁寧に教える必要があるでしょう。

また、慣れない日本で暮らす外国人労働者のなかには、夜間などにパーティーを開催する方も多いようです。閑静な住宅街では騒音トラブルになりかねません。

さらに、仕事や留学などで日本人の身寄りがない場合は連帯保証人がなかなか見つからないケースが多く、家賃の不払いや未払いなども懸念されます。

外国人に部屋を貸すメリット

外国人の入居を受け入れるリスクがある一方で、適切な対策をすれば、家主様にとって大きなメリットにもなります。

まず、外国人に入居していただくことで空室率が改善する可能性があります。空室率が改善すれば利回りの高い物件を維持できるでしょう。

また、外国人は日本人のように新築物件を好む価値観はあまりないので、古くて入居者が決まりにくい物件でも問題なく入居していただける可能性があります。

さらに、外国人労働者や学生同士のネットワークによって、退去時に次の入居者を紹介してもらえるケースも多いようです。

外国人に部屋を貸す場合のリスク対策

将来的に増え続ける外国人労働者を受け入れながらもリスクを回避する方法について解説します。

まず、契約に関しては、翻訳アプリや通訳にお願いして、細かくルールを伝えるようにしましょう。

可能であれば、録音など記録をとって、ルールを説明した証拠が残っていると、後々のトラブル回避にもつながります。

国土交通省による「外国人の民間賃貸住宅入居円滑ガイドライン」は、英語や中国語など14ヶ国語に対応しているのでおすすめです。

また、外国人の対応に優れた「管理会社」に委託するのも一つの方法です。豊富な実績がある管理会社であればさまざまなトラブルにも対応できるでしょう。

外国語のマニュアルを完備していたり、外国人のスタッフが常駐しているなどのサービスがあれば、より安心して任せられます。

外国人に対応してくれる「保証会社」は、英語だけでなく多言語に対応可能なスタッフがいるので、トラブル発生時にも、母国語ですみやかに解決に導いてくれます。

また、保証会社は、明け渡し完了までの家賃の保証はもちろん、原状回復費用についても、滞納時及び入居者が無断退去した場合も保証してくれます。

医療・介護・年金をはじめとした社会保障費の急増や介護の担い手である人材不足が顕在化する「2025年問題」が目前に迫るなかで、日本経済再生の鍵を握る外国人労働者は今後も増え続けることが予測されます。

言葉の壁や文化、生活習慣の違いから生じるトラブルなど事前にリスクを予測し対策を講じながら外国人を受け入れることは、安定的な家主様の賃貸経営につながるでしょう。