駅からの遠さを、テクノロジーで解決する。

2020.5.7

理想の住まいの立地条件といえば、最寄り駅やスーパーマーケット、病院からも近いこと、というのは長いあいだ変わりませんが、ここ数年、求める距離はさらに短くなっています。

近年のアンケート調査をみてみると、駅から自宅までの “理想” の距離で、一番多い回答は「5分未満」、次に「7分未満」となっていました。

ところが、理想はさておき、現在の住まいはというと「10~15分以内」の距離が最も多く、許容範囲とする距離も同じです。理想の条件と家賃を比較して、何かしら諦めなければならないとき、「駅からの距離」は諦めざるを得ない妥協点となるのでしょう。

理想である5分以内が15分になれば、片道10分往復20分、週5日勤務として1週間に1時間40分も通勤時間が「プラスされる」ことになります。

所有している物件が駅から離れている場合でも、本来削りたかったその貴重な時間も「この物件なら取り戻せそう」と感じてもらうには、どんな方法があるでしょうか。

時短を渇望する賃貸希望者が、物件見学でプラスと感じるポイントに絞って考えてみます。

20分という時間の価値

わたしたちが、何故こんなに急いで、会社に着いたり、家に帰り着いたりしたいのかといえば、無駄な時間は少しでも減らしたいという心理が、個々人の経験からくる、選択の目にも反映されているからでしょう。

20分という時間は、たとえば「仮眠に最も最適な長さ」「集中力が持続可能な時間の長さ」であり、美容のために「湯舟で温まる最適な長さ」でもあります。

さらに「運動の最も重要な効果である、認知機能、健康、気分の向上が得られる時間の長さ」であることも研究からわかっています。20分は貴重です。一方で、無意識に費やしてしまった残念な20分も存在します。

20代~60代を対象にした「家の中での探し物に関する調査」によれば、日本人が探し物に費やす時間は、1年間で約1週間(約145時間、1日18時間計算)もあるといい、これは1日に置き換えると約25分という結果。毎日、そこまで探し物に費やしている意識はあまりないのでは、と思いますが如何でしょうか。

対象となる探し物の上位は、ペン、携帯電話、財布、めがね、リモコン、となっており、どれも「無意識に探している」という点がポイントです。探し物をしているうちに注意が逸れて、いつの間にか、本来の目的ではないことに長々と時間を費やしてしまう経験は、多くの方が思い当たるのではないでしょうか。

見せ方の提案 ~ 技術で無駄な時間を省く部屋

最寄り駅からの距離は、妥協して良いものか、それとも、家賃は高くても希望通り駅近物件にするべきか。

物件見学者の迷いを希望に変える、一つの解決策として見逃せないのは、技術で確実な時間の無駄を削減できるスマートホームの存在です。

スマートロック、スマート空調、スマート照明、のスマートホームを叶える3点は、工事の必要がないため導入のハードルが低く、さらに、「探し物」に見られるような、無意識に無駄にしている「日常の小さな煩わしさ」を幾つも解消できることから、満足度の高いシステムといえるでしょう。

まず、”スマートロック” は、玄関ドアに簡単に取り付けることができます。 製品により少しずつ特徴は異なりますが、ドアにスマホをかざさず音声で開けたり、スマホを服に入れておけば近づくだけでも解錠が可能。 スマホでの解錠の他に、カードキーでの解錠、鍵URLを友だちと共有したり、暗証番号のタッチで解錠、と解錠のバリエーションも複数用意されています。

従来の鍵は、失くしたり、鞄の中で行方不明になって玄関前で大捜索が始まったり、手にいっぱいの荷物を全て床におろして鍵を開けたりと、小さな時間の浪費は日常でした。

そして、スマート空調、スマート照明も、従来の家電を “Google Home” のようなスマートスピーカーで連携すれば、外出先でのスイッチオン・オフは勿論のこと、位置情報を使うことで、「最寄り駅に到着したら自動で空調・照明のスイッチがオンになる」という設定も可能になります。

部屋に着き、部屋が涼しくなるまで、もしくは温まるまで待っていた、あの時間は要らなくなるのです。

「この部屋の空調は、最寄り駅に着いたあなたを感知して “お帰りまでに” 部屋を快適な温度に整えて待っています」 こうした紹介が可能になれば、距離を無駄に感じさせない効果、妥協した時間もすんなり取り戻せる、という期待感へと繋げられるのではないでしょうか。

見せ方の提案 ~ 美しいだけではない “モデルルーム” 効果

妥協するかもしれない「余分な時間」を念頭に置いて、物件見学に訪れる方のために、もう一つの対策として注目しておきたいのが、具体的なライフスタイルをすんなり想像できる部屋づくり、 “モデルルーム効果” です。

時間の使い方にも大きく関わる、動きやすい、片付けやすい、といった「機能面」のメリットを、なにも置いていないガランとした空間から想像することは困難でしょう。

サンプルとなる暮らしの動線を、家具などの配置で視覚的に提示できれば、空間の奥行・幅などの視覚情報に加え、使ったものを仕舞う、洗ったものを片付ける、といった、日常動作の流れも想像し易くなります。

駅からはやはり少し遠かったと感じている見学者が、物件到着後にさらに「家具の配置を想像し、自分にあった暮らしができるか否か」イメージしようと試みる労力を省き、「ここに住むと、スッキリとした暮らしが実現できそうだ」という思考へ、一足飛びに導くことが可能になるのです。

特に、時間の節約が叶う部屋を意識するケースでは、適切な収納、実用性に優れた家具の配置提案など、整理整頓を意識して、コーディネートをすると良いでしょう。

このモデルルーム効果を使った物件紹介方法は「ホームステージング」と呼ばれ、ここ数年、中古物件の賃貸や販売促進にも適用され始めている手法です。

時間の余裕をもたらす部屋づくりとは

行動科学の理論では、時間をつくるために必要なのは「なにか大きなことをやめるというのは勿論、それ以上に無意識にやっている「一見、必要そうなこと」の中から実は無駄なことを認識し、削っていくことが大事」だといいます。

減らせない通勤時間の代わりに、無意識領域に押し込めがちな、暮らしの小さなストレス群を解消し、「余裕」が生まれる住まいを提供したい。

「無駄な時間を生まない部屋」という印象は、「時間がほしい」現代人の願望に、すんなり届く、大きな魅力になるに違いありません。